外来のご案内

もの忘れ・うつと不安の外来は、認知症やうつ病、不安障害の患者さんの早期の発見と治療をめざしています。たいていの病気と同じように、認知症やうつ病、不安障害もできる限り早く見つけて早く対応することが大切です。身近な方が同じことばかり聞く・話す、しまい忘れが目立つ、料理や買い物をしなくなった、前はあった興味や関心がなくなった、または落ち込みが長く続いている、電車やバスに乗れないことが続くようなことがあるときは、ぜひご来院ください。
外来は 毎週(火)午後・第2第4第5(金)午後に診療を行い、診察は 完全予約制です。診察予約・クリニック内予約端末・電話で必ず事前予約をして受診してください。

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また、初診時(1回目の診察時)には診察前に問診票の記入・確認がありますので、ご予約時間の約 30分前にお越しください。下記リンクから問診表をダウンロードしていただき、事前に問診票をご記入の上ご持参いただいても大丈夫です。

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疾患について

もの忘れと認知症について
「もの忘れ」と「認知症」は何が違うのでしょうか?認知症とは様々なお病気や原因により認知機能が低下し、生活に支障が出ている状態です。認知機能とは、記憶・思考・計算・判断などにかかわる知的能力のことです。「もの忘れ」には以下の段階があります。

1.自覚的なもの忘れ
もの忘れが気になっていても、認知機能検査では正常範囲の状態

2.軽度認知機能障害
軽度の認知機能低下は見られても、認知症ではない状態

3.認知症

記憶力や判断力・注意力の低下があり、日常生活に支障が出ている状態

「もの忘れ」があるから、「認知症」とすぐに判断することはありません。「もの忘れの程度」を確認するためにも、早い段階でのご受診をお勧めします。

うつと不安、うつ病と不安障害について
「うつと不安」、「うつ病と不安障害」は何が違うのでしょうか?うつ病や不安障害は生物学的な原因を伴う、感情・意欲・行動などの精神的な機能が低下する、生活に支障が出ている状態と考えられています。生物学的な原因は、自律神経系や中枢神経系、および内分泌系にあると考えられています。「うつと不安」は、以下の種類に分かれます。

1.自然な感情としての、落ち込みや不安
何かの心理社会的なきっかけに続く、日常生活への支障が目立たないことの多い、落ち込みや不安

2.うつ病や不安障害またはその他のこころのお病気でみられる、落ち込みや不安
何かの心理社会的・生物学的な原因(長期的な過労や無理のある生活スケジュール、または認知症など他のこころのお病気など)に続く、日常生活への支障が目立つ落ち込みや不安感

3.身体のお病気などでみられる、落ち込みや不安
貧血、糖尿病、甲状腺機能異常、脳卒中などの身体のお病気や、お薬の副作用でも、落ち込みや不安がみられる場合があります。

うつと不安があるから、うつ病や不安障害とすぐ判断することはありません。うつと不安の種類を確認するためにも、早い段階での受診をお勧めします。

診察の流れ

1)受診前
当院を初めて受診される方は、必ず初診の予約をお取りください。可能であれば、かかりつけ医からの紹介状やお薬手帳をお持ちください。あらかじめご本人の様子を確認できますので、診療に役立ちます。

2)受診初日
①事前準備
病状について詳しくお伺いいたしますので、もの忘れが目立つ場合は、ご家族と一緒のご来院をお願いします。

②来院
時間に余裕をとって、ご予約時間の30分前にお越しください。

③問診表
ご本人・ご家族に問診票を記入していただきます。
PDFファイルでプリントアウトもできますので、事前にご記入して初診当日にご持参いただくことも可能です。
【もの忘れ、不安とうつの外来問診票はこちら】

④診察
診表担当医師より、病状や日常生活の様子について診察があります(約30分)。医師の判断により内服薬が処方されることがあります。

ご本人の病状によって、以下の検査を医師よりご案内いたします。
神経心理検査:記憶力や判断力、言語能力などを詳しく検査します。
診察後の検査:必要に応じて、血液検査・心電図・画像検査(レントゲン)などの簡単な検査があります。

3)検査日
脳CTまたはMRI検査:脳の断面写真を撮影する検査です(約40分)。脳の萎縮や脳梗塞などの病気がないかを調べます。

4)初診後再診日(2回目の診察)
ご病状にもよりますが、初診から約1-2週間後にご来院いただいています。再度ご病状や日常生活の様子について診察の上、ご本人・ご家族へ検査の結果をご説明し、治療方針についてお話しします。(約30分)
医師の判断により内服薬が処方されることがあります。また、追加の検査が後日予定されることもあります。また、必要に応じて他の医療機関にご紹介するために、情報提供書を作成します。

5)再診(3回目以降)
3回目以降の受診では通常の診察となるため、スムーズな受診が可能です。(約10分)

※特記事項
◇1回目の診察(初診)時と2回目の診察(初診後再診)では、面談や簡易検査、検査結果や治療方針の説明を実施するため、受付してからある程度お時間がかかります。(1回目は約1時間、2回目は約30分)。3回目以降の受診では通常の診察となるため、スムーズな受診が可能です。(約10分)

◇診察の結果を受け、お薬が処方される場合と処方されない場合があります。

◇ご本人の状況によってはより専門的な治療や入院治療の為、他の医療機関へのご紹介が必要と医師が判断する場合があります。
ご紹介先については、医師がご案内します。

もの忘れ、うつと不安の外来Q&A

Q)どうして、もの忘れだけでなくうつと不安を診ているのですか?
A)うつ病は気分の落ち込みだけでなく、もの忘れや判断力の低下などの認知症とよく似た症状が出ることがあります。また、認知症にうつ病を合併することは珍しくなく、更にうつ病に不安障害を伴うことも珍しくありません。
このため、共に出現しやすいこれらのこころの症状を幅広く診療しています。

Q)お薬を飲むことに不安があるのですが…。
A)認知症・うつ病・不安障害は、お薬による治療が有効と考えられていますが、実際は環境調整や心理教育など、お薬以外の治療法を組み合わせて行うことが多いです。
お薬の治療については副作用の出現の可能性や効果について、ご本人やご家族への説明をふまえ、ご選択頂けるよう心がけています。

Q)もの忘れや、うつと不安以外のこころの病気は診てもらえますか?
A)たとえばパーソナリティ障害・解離性障害や慢性化した統合失調症などでも、うつや不安の症状が出現することがあります。また、うつ病や不安障害に発達障害などの特性が合併している場合もあります。これらの他のこころのお病気の治療においては、実際は臨床心理士や精神保健福祉士などによる専門的な神経心理検査やカウンセリング、および社会福祉支援を要するケースが多く見られます。このため、これらのこころのお病気が疑われる場合も含めて、他の心のお病気は基本的に他の医療機関にご紹介させて頂いております。

Q)学生ですが、診てもらえますか?
A)児童思春期の方(18歳未満の方)のこころの病気は、より専門的な治療が必要と考えています。ただ今のところは、他の医療機関へのご紹介のみとさせて頂いています。

医師 平山大雅 ひらやま たいが

◆職位
山本メディカルセンター副院長

◆専門領域
認知症、総合内科

◆所属学会/資格
日本精神神経学会、産業医

◆メッセージ
もの忘れ・不安とうつを抱えるご本人やご家族、そして地域の医療福祉支援者が孤立しないように、皆で力を合わせる診療を心がけています。